2012年3月3日(土)
春
今日は急に温かくなりました。
既に隣の家の梅は満開で、これが続けばつくしでも出てこようかというところです。
蜂やら蠅が飛び始めて、秋に散った草の種もそこら中で芽吹きだすでしょう。裸の樹には若芽が膨らむだろうし、人はといえば、新しい環境に入っていきます。
厳しい寒さが和らぐと、気持ちもなんとなく穏やかになります。
春。他方で僕は、理由もなく、寂しくなります。
居もしない女性や、触れられもしない人ばかりに心を蕩尽させてしまった副作用です。
暗くなる前に、終わっておきましょう。これからライブです。
みんな、ドラマーのモニ片岡を見に来るのであって、理想と現実をないまぜにして、逃げながらもがき苦しむ26歳の青年を見に来るんじゃありません。
もう大人なんだから。大人になったつもりなんかなくても、時間が大人とみなすのだから。
では。
昔話
突然ですが、僕はポリエステル繊維の黒いパーカーを持ってます。
何年か前に、実家に帰省した時、ユニクロで購入したものです。
結構気に入っていますが、着てしまうと、そこから上に合わせられる服が少なく、主に春や秋に活躍しています。
その手触りは、なめらかで光沢があり、心地よいものですが、何か懐かしい感じもします。
なぜ懐かしいんだろうかと考えて、思い当りました。祖父母のことを思い出すのです。
彼は僕の父方の人で、もう亡くなりましたが、祖母と二人で小さな織物工場を経営していました。
僕が小学校低学年の頃、家に帰ると仕事で居ない両親の代わりに彼らが迎えてくれたのです。長男でたくさん可愛がってもらった僕は、かなりのおじいちゃん子で、よく彼にしがみついていました。
その彼が着ていたのが、深い藍色の作業用パーカー。端切れで作った前掛けと共に、身に着けて工場の機械を見ていたのでしょう。
いろいろあった学校から、安心できる家に帰り、そして目にするパーカーの祖父母。僕が帰ると、少々機械を止め、コーヒーを入れて、スーパーで買ったロールケーキを切ってくれたのを思い出します。
今の僕は二十六歳、あれはもう、二十年近くも前のことになるんですね。
今日は天気が悪くて、階下の乾燥機に洗濯物を放り込んだんです。さらりと乾いて出てきたのが、黒いパーカー。ちょっと思い出しました。気持ちが温かくなります。フラグにしておきましょう。
