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ぼたん寺など
毎年、京都辺りまで出向いて、梅を愛で桜を楽しむのだが、この春は夫婦揃って風邪を引いたり、でどこへも行かなかった。東京周辺は、関東大震災でやられたのに加えて、米軍の空襲で徹底的に破壊され、加えて1960年代から隅々までセメント、コンクリートで固めたこともあって、永井荷風がこよなく愛した江戸の名残などかけらもなくなった。江戸時代には、各町内に、お稲荷さんやお地蔵さんがいくつもあったけど、そんなものも殆ど残っていない。その点関西は、京都、奈良が空襲を免れたし、軍需工場は徹底的に破壊されたけど、その他は、東京に比べれば古きょきものが保存されている。私が首都圏を棄てて明石へ引っ込んだ理由の一つでもある。埋め合わせに、5月4日、妻と明石薬師院(ぼたん寺)を初めて訪ねた。明石市の西端にあるそれは、お寺も古いまましっかりしているし、鐘撞き堂など見事なものだし、牡丹と躑躅が美しい。入園料は取るけど、京都の名所旧跡のように人々で溢れて身動き出来ないこともない。花を愛でながらのんびり1時間、四季折々の美しさを示してくれる日本に感謝しながら過ごしたことだった。アメリカ西部から中南米や中近東などは乾燥しきった砂漠で四季などないし、ドイツ、フランスから北の欧州諸国では春と冬だけの感じ、日本みたいにいい国は他にないのである。日本のように安全で穏やかな国もない。 アフガニスタン、イラク、パキスタンなどは内戦状態で、とても暮らせるものではない。アメリカ、欧州の大都会は、これらの国々のテロリストに付け狙われて物騒この上もない。アメリカの入国検査の厳しさは、テロ対策上やむを得ないのだろうが、訪問者に対する大侮辱で、これを考えただけでもあの国へ行く気はなくなる。アラブ諸国に取り囲まれたイスラエルの警戒の厳重さにも改めて驚いたことだった。無責任なジャーナリズムは、「アラブの春」などと当初もてはやしたし、リビア、エジプトの独裁者が倒されたのは一見結構なようだが、実は、これらの国々は独裁者が抑圧していたから、なんとか纏まっていたのであり、それがなくなればイスラム教に傾き、それは必然的に過激化し、各国内でシーア派、スンニ派などの宗派対立、民族抗争が激化して、アラブ圏は不安定となり、イスラエルとの関係は悪化し、そこに介入する力はアメリカにも欧州にもないから、ますます収拾のつかない事態に陥るだけ、「春」どころではないのである。 今年は各欧米国で政権交代が進んでいる。フランスでは久しぶりに社会党政権が生まれる。緊縮、増税による財政健全化に反対し、むしろ雇用拡大などの積極策で経済活性化を約束しただけに、一時的には景気浮上があるかも知れぬが、赤字拡大によって不安定化するだけだ。ギリシャでは、緊縮・増税に耐えかねて、それに反対の政党を選んだだけだから、新政権が公約通りに進めば、財政赤字は大幅に拡大し、EUが支援策を放棄するなら、財政破綻、EU離脱、の道を進まざるを得ず、それがスペイン、イタリアなどに波及するなら、EUは解体、ユーロ消滅ともなり、すれば世界中で株暴落を招いて、1930年代恐慌の再来ともなろう。私も株ではかなりの痛手を被っている。浅智恵で、数年前にUS ドルを見限ってユーロに換えたのも大裏目となった。元々乏しい老後資金の目減りは避けられそうにない。現状では、それに代わる有利な投資先など見当たらないのである。 ロシアではプーチンが復帰した。彼の国民に対する売りは「強いロシア」再現で、これはアメリカとの関係悪化、周辺諸国との抗争激化、を意味する。アメリカでは、今後半年間に余程の失政をしない限り、オバマ再選が避けられないところだろう。4年前、” Change!”を唱えて登場した彼だが、変革らしいものは何もなかった。彼の売りは「ビン・ラディン暗殺」のようだが、他国に、その国に断りもなく軍隊を派遣して暗殺するのは、明確な国際法違反である。アメリカは、1989年、パナマ共和国の国家最高指導者に就任したばかりのノリエガ将軍を「拉致」し、アメリカで裁判にかけてアメリカの牢獄に収監した前科を持っており、余所の国の主権など気にしない体質なのである。占領した日本の憲法を占領軍に作らせるなど、彼等にしてみれば朝飯前の所業、こんな程度で済んだのは日本の幸運だったかも。オバマ再選も対する共和党に魅力ある候補者が見当たらないのが最大の要因で、これでは落日のアメリカ、前途はますます暗い。同性婚が多くの州で合法化され、オバマはそれに関して賛否を明言しないままだったが、最近テレビ・インタビューで、現職大統領として初めて、これを容認した。この国は矢張りおかしい
小沢一郎現象よ、さらば
私が小沢一郎の名をはっきり意識したのは、1989年、当時自民党を事実上取り仕切っていた金丸信に押されて,彼が47才の若さで幹事長になった時である。 総裁選挙への出馬を表明していた、宮沢喜一、渡辺美智雄、三塚博、等、年齢でも当選回数でも自分を遙かにに上回る長老連を、次々に自分の事務所へ呼び付けて品定めしたには驚いた。自民党の常識を逸した無礼さ、「剛腕」ぶりで、当時の金丸の強さを示したものだ。旧友の一人で,学生時代に田中角栄邸でアルバイトしたことのある男は、「1969年、27才にして、死亡した父の地盤を継いで衆議院議員初当選を果たした小沢が挨拶に訪れた時、側近に、『この男は間違いなく総理大臣になる』と漏らしたのを仄聞した」と言っていた。田中のことだから、訪問代議士全てについてそんなことを漏らして人心収攬に努めていたのかも知れぬが、そうでなければ、彼なりにどこか見所を見出していたのだろう。事実、小沢はその後、一貫して田中派に属し、若くして田中に重用され、その没後は金丸の一の子分となる。その金丸も、1992年、佐川急便事件で議員辞職に追い込まれるや、羽田派を結成、やがて自民党を離脱する。その後、8党派連合の細川内閣を作ったり、羽田内閣、海部内閣など、作ったり壊したりした挙げ句、新進党、自由党、などを転々、現在の民主党に至る。この民主党は、元自民党、それ以上の右派から労組、日教組まで、主義主張が全く異なる諸勢力が、「剛腕小沢」によって政権に就くことだけを当て込んで集まったもので、だから綱領も出来ないし、選挙目当てのマニフェストは、大向こう受けのみ狙って、党内の合意も予算の当てもないままいい加減に纏めたもので、土台、自分達が本当に与党になって、その実現を迫られるなど、予想もしてない無責任なもので、だから破綻して当然なのである。 政党というものは、政見を共有する人達が集まり、その実現を目指すためのものである。かつての自民党も、随分いろんな政見の人々が派閥に毎に纏まり、それを大きく束ねたものだったが、社会党、共産党に絶対反対し、アメリカに依存しながら経済発展を指向する点では一致していた。だが今の民主党には、そういう最小公倍数もない。全くの野合集団である。 日本にも政治家を自称・他称する手合いは多いけど、約40年にも渉って話題を独占し続け、内閣や政党を作ったり壊したりしながら彷徨い続けた者は他にいない。彼には政見らしいものが皆無で、組む相手も政見も選ばぬ無定見さ、いつも政権を取ること、それも自分が総理大臣になって責任を取るのではなく、常に裏方に徹して、責任回避することに終始している。選挙に強いのが売りで、だからその政見らしきものは常に票稼ぎ目当てのポピュリズム、最近で言えば、消費税増税反対、農家へのばらまき、一度マニフェストで「箱物から人へ」など格好いいところを見せながら、忽ち新幹線、高速道路、ダムなどを復活して票稼ぎに精出している。 これだけ無茶苦茶、食言を繰り返しながら、彼が支持者、票に恵まれてしぶとく生き延びている源泉が、田中角栄、金丸信から引き継いだ建設会社等の膨大な金脈であるのは間違いない。 2009年8月、選挙担当代表代行なるおかしな肩書きで衆院選を戦い、308議席を獲得して、自民党離脱以来の持論「二大政党」に一歩進んだかに見えた。この選挙、地盤も資金もない新人候補達に巨額の選挙資金を流して当選させ、彼等を主体に100名を越える小沢派を形成して、党内外に睨みをきかしている。そして野田総理大臣が「不退転の覚悟」で実現を計る消費税増税などに反対を表明、またもや党壊しに動いているかに見える。資金管理団体の虚偽記載容疑で秘書3人が起訴されても、「無関係」と主張し続け、彼本人も検察審査会に強制起訴されたが、この4月、第一審で無罪判決となった。あれだけ巨額の金の出し入れに「無関係」とは常識的にありえないことだ。だが、田中、金丸の両汚職師匠が、いずれも有罪判決で葬られたのを身近に見ているだけに、絶対に証拠を残さないよう努めたのであろう。日本は三審制だから、第一審で有罪とされても、検察が控訴を断念するまでは有罪だ。それなのに早くもその徒党らは、党員資格停止処分の取り消しを求めたり、その代表再任を望んだりしている。判決翌朝、4月27日「産経新聞」の「正論」で、屋山太郎氏は、「小沢氏よ『無罪』を引退の花道に」と呼びかけておられる。誠に正論だが、そう簡単に引き下がる輩ではない。彼をのさばらせたのも畢竟我々有権者なのであり、次の総選挙で民主党と彼に最終的に引導を渡して、小沢一郎現象に終止符を打つしかないのである。